東デルタのアヴァリスを都とした「ヒクソス」による王朝。ヒクソスは古代エジプト語「ヘカウ・カスウト;異国の支配者達」がギリシャ語でなまったもので、西アジアからの様々な移民達を意味する(特定の民族を示すものではない)。移住は一時期に大規模に行われたものではなく、中王国時代から徐々に移住が行われており、第2中間期の混乱に乗じて支配をするようになったものと思われる。彼らがエジプトに持ち込んだもので特に重要なものは戦車や馬などの戦争アイテム。もともと戦闘の多い地方にいたためそのようなアイテムが発達したようで、後にエジプトが軍事大国となっていくためにも重要なものとなった。王朝の後半、エジプト人による王朝である第17王朝(テーベ)と激しい戦闘を繰り広げた。最終的にヒクソスは敗れ、エジプト人による統一王朝が復活する。
@シェシ
誕生名:シェシ
即位名:マアイブラー
即位名の意味は「ラーの心は見たもう」。
Aヤコブヘル
誕生名:ヤコブヘル
即位名:メルウセルラー
即位名の意味は「強きかな、ラーの愛」。
Bキアン
誕生名:キアン
即位名:セウセルエンラー
即位名の意味は「ラーのように力強い」。ミュケナイ(ギリシャ・クレタ島)との交易を示す遺物、碑文がアヴァリスとクレタ島双方から出ている。
誕生名:アペピ
即位名:アウセルラー
即位名の意味は「ラーのように偉大で力強い」。この王朝では最長となる約40年在位したらしく、支配圏も最大となった。この王がテーベの第17王朝(エジプト人の王朝)のセケネンラー・タア2世に送った手紙がきっかけとなって全面戦争に突入した。手紙は「テーベのカバの鳴き声がうるさくて眠れないのでカバを何とかして欲しい」という内容。テーベのカバの鳴き声が遠く離れたアヴァリスに聞こえるわけはなく、完全な因縁であると同時に、カバはエジプト人にとって豊穣の神であったため、その宗教観を侮辱したものでもあった。当然タア2世は激怒し戦争に突入するが、タア2世は戦死する。戦いは最終的にはエジプト人が勝利する(新王国時代の幕開け)。
Dアペピ2世
誕生名:アペピ
即位名:アケンエンラー
即位名の意味は「ラーの霊魂」。
アヴァリスの第15王朝と平行して上エジプトの都市などで統治していた勢力があった。アヴァリスとは別のヒクソスともエジプト人の王朝とも云われるが、詳細は不明。
@アナテル
誕生名:ヘカカスウト・アナテル
誕生名の意味は「アナテル、砂漠の支配者」。カルトゥーシュではなく、スカラベに記されていた。一番左のヒエログリフは「ヘカ;支配者」を示し、支配者が持つ笏杖の形で表される。
![]() ヘカ |
誕生名:ヤコブアアム
アナテルと同じく、名前はスカラベに記されているもののみ。